宇宙人吹奏楽団のコンセプトや音楽に対する考え。
宇宙人吹奏楽団。なんとも不思議で変わった楽団名だと思った方は多いかと思います。
音楽は宇宙の中心から太陽、月、星を経て地球に届き、
そして世界中のどこかの演奏会場で演奏者と聴き手は音楽を通じてひとつになる。
地球も宇宙のひとつであり人間も音楽も宇宙であるという発想から、宇宙人吹奏楽団と名付けました。
「宇宙人」という名称は、UFOや地球外生命体という一般的なイメージというよりも、
「宇宙人(うちゅうびと)」というニュアンスです。
「音楽は宇宙からのメッセージである」
古代ギリシャでは天体が音を発し、宇宙全体がハーモニーを奏でているという発想がありました。
これを「天球の音楽」と呼びました。
音楽とは数であり、宇宙とは音楽である。
音階と数から世界は成立している「天球の音楽」を着想したのはピタゴラスとされていて、
プラトンやプトレマイオス、アウグスティヌス、ボエティウスら多くの思想家もこの思想を受け継ぎました。
彼らは3つの種類の音楽を提唱しました。
① ムーシカ・ムーンダーナ(宇宙の音楽:天球が発する音楽)
② ムーシカ・フマーナ(人間の音楽:人体が発する聞こえない音楽)
③ ムーシカ・インストルメンターリス(器楽の音楽:人間がつくる聞こえる音楽)
これら3つは段階をもちながら調和していると考えました。
この楽団では「3つの音楽」をバランス良く意識しています。
情報化社会で利便性を最重視する現代。音楽はより技術的であり、
分かりやすいことが評価されているのではないでしょうか。
音楽家たちの演奏も同様に、「誰にとってもわかりやすい音楽」が主流となってきており、
新たに生まれた曲が長く継続されて演奏されることは少なくなりました。
流行りのスタイルを少し演奏した後は、すぐに飽きてまた複数の新しい曲が生まれ、
数だけ増えているということが多く見られます。
有名なジャズピアニストのキース・ジャレットは次のように語っています。
「聴くことができなければ、繊細さや連続性を獲得することはできません。
このことに人類すべて、そして音楽家は取り組むべきなのです。
でなければ何も生まれません。少なくとも良い聴衆は何も感じないでしょう。
良い聴き手と悪い聴き手の違い、それはセンシティビティがあるかどうかです」
繊細な聴く耳は、付け焼き刃の知識や技術からは生まれません。
数多くの様々なジャンルの曲を聴き、演奏することで、繊細さは生まれると私は考えます。
そして十分な繊細さを持ってこそ、聴き手は演奏者がやっていること、
演奏者は聴き手に届けたいものを、心から理解することができるのではないでしょうか。
誰かの音楽の表現を分析し、批評することに価値はありません。
自分自身の耳と心で聴き感動する音楽こそが本物の音楽であると信じています。
現在の日本における音楽教育において、「こういうときはこうあるべき」とか、
「こういうときはどうしたらいいか」という既成概念ばかりで、自由度が欠けていると考えます。
音楽を通してどのようなことを体験したいのかということは、
どのようなことを学びたいか、とは全く違うと思います。
もっと音楽は体験することに重きを置くべきではないでしょうか。
学ばせる・学ぶという日本の音楽教育にありがちな固定概念を離れて、
「音楽をありのまま体験する」とはどういうことなのかを、
音楽家としての経験を交えながら一緒に体験していきたい。宇宙人吹奏楽団はそう考えています。
宇宙人吹奏楽団 運営事務局
コンサートマスター:YASY<男性/会社員> 楽器:クラリネット(歴40年)
事務局責任者&SNS担当:YOKO<女性/美容専門学校教職員> 楽器:クラリネット、ピアノ